2017年06月04日

会計士の映画

「ザ・コンサルタント」をレンタルしてみました。面白かった。



クリスチャン・ウルフ(クリス)は高機能自閉症児。数学的な能力は並外れているが、意思疎通能力には劣り、様々なことに独自の強いこだわりを持ち、それが引き金になってパニック発作を起こしてしまう。

軍人の父親は妻が逃げ去った後、クリスが将来一人で生きて行けるように、弟には兄のサポートをするように、2人に限界を超えた軍人流のスパルタ教育を施す。

大人になったクリスは田舎町で数学の才能を活かして優秀な会計士として個人事務所を持っている。しかしこれは表向きの顔、実は多数の暗黒組織の会計士をしているのだ。普通あまりに多くを知りすぎた会計士は短命なのだが、彼が生き続けているのは父親に仕込まれた暗殺術や軍事作戦術のおかげなのだ。

ある企業の会計の謎を調査する仕事の依頼を受けて。クリスは超人的な調査能力を発揮して会計のカラクリに迫るが、突然会計責任者が自殺、調査は中止、プロの殺人集団に命を狙われる。しかし、スイッチが入るとクリスは優秀な殺人者にもなるのだ。

現在の事件の合間に過去のクリスの生い立ちが挿入されて、次第に複雑な事情が明らかになってゆく、出演者の皆にも別の顔や事情があって後半次々に伏線が回収されてそれぞれにグッとくる。

クリス役を演じるベン・アフレックは、どの映画に出てもウドの大木感があって不思議な俳優だけど、今回はバッチリはまったと思う。彼のこのキャラクターはシリーズ物になるかもと思うほど魅力的なのです。

どうやってこんな不思議な設定を思いついたのかと思いながら見ていたけど、後半の展開はスーパーマンなどのヒーロー物のような印象です。ヒーロー物を下敷きにして、ヒーローにはつきもののウィークポイント、どうしても克服できない弱点を自閉症にしたらこんな話になったのかもしれません。
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2017年05月01日

3回目ぐらいが面白い映画



久しぶりに「ゲーム」を見ました。

映画は大富豪の家のホームムービーから始まります。広大な敷地の邸宅で催された長男の誕生会。しかし父親はなぜか浮かぬ顔。長男ニコラスの顔のアップから、現在のニコラスの顔にカットが変わる。

投資銀行の社長になったニコラス(マイケル・ダグラス)、冷徹で嫌な感じの金持ちになった。今日は48歳の誕生日。あの父親が自殺した歳だ。久しぶりに問題児の弟コニー(ショーン・ペン)が訪ねてきてプレゼント代わりに謎のCRSクラブのカードを渡される。

商談で通りかかったビルにCRSのサンフランシスコ支部があるのに気付き、誘惑に負けて尋ねると、いきなりの適性検査。2時間のはずが1日拘束され、ある種のゲームだと説明され同意書にサインさせられる。

家に帰ると車寄せにピエロの人形が横たわっていて(ソウみたいなホラーか?)いつも見ている経済番組の有名キャスターが番組中に突然テレビから話しかけ、ゲームについて説明(SFか?)。次の日から小さなイタズラを仕掛けられる。

CRSでもらったペンはインク漏れでポケットにシミをつけ、言い負かしてやろうと臨んだ商談では重要書類を揃えたカバンが開かず、ウェイトレスにはワインを胸にぶちまけられ、目の前で人が倒れ、ウェイトレスとともに介抱して救急車に乗り、ついた病院では突然明かりが消えて2人以外の人が姿を消してしまう。。。大変なことに巻き込まれたと思った時にはすでに遅く、イタズラは実行不可能な規模に大きくなってニコラスの日常を侵食してくる。
信用や、命まで失いかねない事件に巻き込まれて、誰が仕掛け人なのかもわからない。ついには全財産を乗っ取られ、メキシコの片田舎に遺棄されてしまう。しかしニコラスはそこから反撃を開始する。

この映画はその後も予想を裏切る展開を続け、正直なところ、1度目は疲れて途中で見るのをやめてしまいました。2度目には最後まで見てなんだこういう話だったのかと感心。そこまでは騙される側の視点で見ていたのですが、3度目以後は騙す側の視点で見ているので、面白いのです。。。ニコラス役のマイケル・ダグラスの驚いたり、怒ったり、困ったり、見破ったりの表情が素晴らしく光り輝くのです。タクシーに閉じ込められて海に突っ込む場面の慌てっぷりは大笑いしちゃう場面に変わっています。

映画の後半で、ニコラスは最初に会ったCRSの担当者が役者なのに気付き、彼を銃で脅してCRSの本部に乗り込みますが、案内されたのはスタッフの食堂で、今までニコラスを騙してきた仕掛け人の人たちが一堂に会しています。あの人もあの人も仕掛け人だったのかと、最初から突きあわせをしたくなるような大謎解き場面が仕込まれているのも、制作者たちが何度か見直してからが面白くなる映画を作ろうとしていたフシがあるのです。そういえば始まりのタイトルがジグソウパズルなのも後になってぴったりくる感じなのです。仕掛け人たちを演じる役者たちも忘れられない顔をしています。それにしても、才能がある人が本気で作るとこんなものが作れるのかと感心します。監督はこういう映画を撮らせたら右に出る者がいないかも、デヴィッド・フィンチャー。
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2016年06月12日

何度も見ちゃう映画

テレビで再放送をやっていると何度も見てしまう映画があります。
「タクシードライバー」とか「エイリアン」「遊星からの物体X」とか。
今回WOWOWで見た「フランティック」もその一つ。
「フランティック」は1988年制作のアメリカ映画。監督はロマン・ポランスキー。主演はハリソン・フォード。音楽はエンニオ・モリコーネ。



学会に出席するために妻を伴ってパリを訪れた外科医リチャード・ウォーカー、ついたばかりのホテルの部屋でシャワーを浴びている間に妻が消えてしまいます。シャワー中に妻が出ていた電話、ホテルの裏路地に落ちていた妻のブレスレットなどから、誘拐されたと確信して、ホテル、警察、米国大使館などに助けを求めるのですが、妻が浮気相手と逃げたのだろうと誰も親身になって取り合ってくれません。なんとなく怠惰なお国柄を思い知らされ、フランス語が全く話せないリチャードは一人、妻の奪還のために細い糸をたぐって奔走することになるのです。

巻き込まれ系のお話は、主人公の探索に付き合う感じで事件の全体像がわかって行くようになっていて、空港で取り違えられたトランク、中に入っていた「デデ」の電話番号のメモなどを頼りにひどい目に遭いながらトランクの持ち主不良少女ミシェルを見つけ出します。勝手気ままなミシェルと堅物のエリート外科医の凸凹コンビの探索行が始まると物語が動き出します。

この映画が好きなのは、ちょっとしたシーンも妙に小粋に作り込んである感じが理由かもしれません。例えば探し当てたデデの部屋。ドアノブが壊れていて、ドアを押すと開いてしまいます。普通なら部屋に入るのはためらいますが、中にいた猫が出ようとするので、足で制してドアを閉めると、、、ほらもう入っちゃってる。そして部屋の奥にはデデの死体が。。。結局猫は出て行ってしまいます。  他にも、スーツケースを抱えて急傾斜の屋根伝いにミシェルの部屋の天窓から部屋に入ろうとするが、高級なクツがツルツル滑って、窓枠にベルトを引っ掛けてスーツケースの中身を屋根にぶちまけてしまいます。裸足になろうと、クツを脱いで、靴下を中に入れて、、、それも屋根を滑り落ちて行って、、次から次へ何もかも無くして行く男の悲哀とダブって面白い場面です。

タイトルとエンドタイトルの音楽はエンニオ・モリコーネ、フランス風味の傑作。タクシー、クラブ、電話をかけたアメリカの実家でもグレイス・ジョーンズの名曲がかかっています。僕はこの映画でグレイス・ジョーンズを知ったのかもしれません。

監督のロマン・ポランスキーはポーランドの血を引くユダヤ系フランス人、第2次大戦の虐殺で母を失い、自らも逃亡生活、映画で成功してアメリカに移住するも、淫行疑惑でアメリカに帰れなくなり、フランスに亡命。2人目の妻はシャロン・テート(3人目はこの映画のミシェル役のエマニュエル・セニエ)というめちゃくちゃな人生の人ですが、作る映画はかっこいい。

監督と脚本家共作のオリジナル脚本のこの映画で、フランス人は怠惰、米大使館員は役立たず、主人公のアメリカ人は徹底的にひどい目に遭いますが、なんとなく監督の複雑な思いが込められているように感じます。「フランティック」は気が狂うといった意味らしいですが、フランはフランスにかかっていそうだし。

ところで。最初と中盤と最後にゴミ収集車のシーンが結構目立つ形で入っているんだけど、何を意味しているのか分からないのです。観光都市のパリの裏側ってことかな?。

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2015年12月03日

捕まえない刑事(デカ)

WOWOWで録画してあった、韓国映画「監視者たち」を見ました。
韓国警察の非公式部署、表向きは一般企業としてビルの一角に居を構え、内部では町中の監視カメラや携帯電話をモニターし、重大事件の犯人を探り出し、居場所を特定する。必要ならば盗撮や盗聴も辞さない、

監視班員は、見聞きしたすべてを記憶する能力に優れ、最終的には目視による確認をする。通行人を装って代わる代わる容疑者とすれ違い確認作業をするため、一般人に紛れ込む能力にも優れたスペシャリスト。監視のみが任務。犯人の逮捕は検挙班に引き継がれる。

冒頭で、地下鉄の中。主な登場人物がすれ違う。何が起こっているの少しずつ分かってくる、片方は犯行の真っ最中の強盗グループのリーダー、片方は適正試験中の新人女性刑事。のちに追跡戦を戦う両陣営が手短かに紹介される。

強盗グループのリーダーは犯罪者になるべく育てられたジェームズ、知性の高い冷徹な男、いざとなれば必殺の殺人技も持っている。新人の女性監視班員ユンジュは少女の面影を残す顔立ち、勝気で正義感が強いがまだ経験不足。古参の班長サンジュンは彼女の才能を見抜き、厳しく、時に優しく鍛えて行く。

多分、この映画は人と人、人と車など微妙なタイミングでのすれ違いの場面が多いので、何度も撮り直しが必要だったのではないかなぁと思いながら観ました。情報端末と人間の感性をうまく絡めて、現代の都市での追跡劇がうまく描かれていてワクワクしました。この映画、実は香港映画「天使の眼、野獣の街」のリメイクだと後でわかって、香港版も見てみたのですが、設定などはほぼ同じ。こちらも香港の街の雰囲気をうまく使った素晴らしい出来でした。韓国版は少し話を整理して、エンターテインメント性を高めて、モダンな感じにしてある感じ。

韓国版「監視者たち」トレーラー



香港版「天使の眼、野獣の街」
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2015年10月01日

PC画面を見続ける映画

WOWOWで録画していた「ブラック・ハッカー(OPEN WINDOUS)」を見ました。

最初から最後まで観客はPC画面を見続けているという設定で作られていて、しかも、「24トゥエンティーフォー」のように実時間を見ているというめちゃくちゃ凝った設定の映画です。

いきなりB級SFテイストの物語が始まり、あれ、こんな映画なの?と思わせておいて、実は新作SF映画の完成試写会。画面が引いて行くと会場のライブビューを写しているノートPCの画面。このPCの持ち主が主人公で、新作SF映画の主演女優ジルの熱狂的なファン、ニック(イライジャ・ウッド)。彼はジルのファンサイトのコンクールで優勝し完成試写会のあと、ジルも同席するディナーに招待されてはるばるやってきて、今はホテルで待機中。

しかし、そのPCに正体不明の人物から電話がかかってきて、あっというまにPCを乗っ取られ、天才ハッカーの意のままに操られ、大事件の犯人として追われる羽目になるのです。天才ハッカーに乗っ取られたPCは万能情報端末となり、被害者ニックと行動を共にして、事件の一部始終を映し出すことになります。



PC画面は、時にはジルの携帯カメラをハッキング、時にはナビとなりニックを誘導し、そこへ、天才ハッカーの正体を探る別のハッカー3人組までアクセスしてきて、もう大混乱。終盤には驚きの大どんでん返しもあって面白い映画でした。

終盤はPC画面の中のカメラの中ぐらいまで入り込んで物語が進むので、ちょっと訳がわからなくなりますが、最後のシーンでPCの画面を閉じるところで終わるので、ずっと最初から同じPC画面を見続けていたことに気づく、、、というような憎いこともやっていて、洒落てる感じ。  監督と脚本はスペインのナチョ・ビガロンド。次回作が楽しみです。
posted by kazzo at 01:25| Comment(0) | 映画